鮮やかな価値観の転換

 高いお金を出せば多くのものが得られる。それはそれで経済性にかなっているし、道理的だし、割にあってはいるんだろうけれど、色がいいねと褒められたポロシャツがユニクロで買ったものだったりしたならば思わずほくそ笑んでしまうあまのじゃくな僕にとってみると、その比例式は受け入れるにあまりに妥当すぎる。
 使ったお金と得られるものが比例する。そこには意外性や、価値観の転換がない。それって、人生から得られる面白みの多くを見逃してしまうことになるような気がする。
 僕の知り合いの女の子は、あまりビールを美味しいと感じたことはなかったらしいんだけど、あるとき競馬場に行ってビールを飲んでいると、ふと美味しいと感じるようになったそうである。そこにはささやかだけど、鮮やかな価値観の転換がある。僕はふとした日常にささやかな喜びを見つけられる彼女が好きだし、そういう彼女の感受性を愛しく思う。