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日常の覚え書

「カレーライスを一から作る」@元町映画館

 元町映画館で、映画「カレーライスを一から作る」を見た。

何から何まで作ります!映画『カレーライスを一から作る』予告編

 この映画は、探検家であり医師でもある関野吉晴氏が、武蔵野美術大学のゼミでゼミ生たちと一緒に、文字どおりカレーライスを一から作るというものである。一から作るので、米、ジャガイモ、ニンジンといったものはもちろん、塩や食器まで作る。
 でも一番のポイントはというと、やはり肉なのである。このゼミでは最初にダチョウを飼ったが死なせてしまい、その後ホロホロ鳥烏骨鶏を飼った。でもやはり動物だから、学生たちは情が移ってきて殺せなくなってしまう。そこでちょっとした議論になる。果たしてこの鳥たちを殺すべきなのだろうかと。
 もちろん、このゼミでは殺すべきなのだろう。それが目的で飼ったのだから。問題を巡る学生たちのやり取りは見ていて身につまされた。関野氏は一気に鳥の首をへし折ってしまい、そのためらいのなさは凄みがあった…。
 面白かったエピソードがあって、屠殺場で働いている人が話をするシーンがあるんだけれど、その人は普段食肉としての動物を屠る場合はなんとも思わないんだけど、飼っている猫が死んだらものすごく動揺するそうである。感情の分け方がすごい。
 このゼミの狙いとして、今の社会であまりに簡単に手に入る食に疑いを持つということがある。牛肉も豚肉も鶏肉もパッケージングされて、命を食っている実感が湧きづらい。普段口にしている肉は、死や血が隠匿されている。
 僕は子どものころ、アリの足をもいだりくっつけたり、ミミズをちぎったり、蝉を叩きつけたり介抱したりと、結構残酷なことをやった。ああいう残酷で背徳的な感触というのは、一生手にこびりつくものである。振り返ってみるに、ああいうことはやっておいてよかったと思う。今は絶対に無益なことはしないから。
 この映画は手をくださずして、生き物を殺めて食べるいたたまれなさや罪悪感を疑似体験させてくれるんだけれど、多分現代の人間一度は、「屠る」ということを体験しておいてもいいんだろうなと思う。でも自分はそういう体験をすると、多分ベジタリアンになるんだろうなと思う。