「マイ・ストーリー」

 三島由紀夫の「命売ります」の装画が気になって、調べたら、山本容子さんという方でした。

命売ります (ちくま文庫)

命売ります (ちくま文庫)

 ずいぶん売れた銅版画家の方らしい。知らなかった。装画には世界を広げてもらっています。
 その山本容子さんの「マイ・ストーリー」を読んでいて、留まった言葉。

前衛性とか芸術の純粋性ばかりにこだわる仲間たちの心は、とても狭いという思いを否定できない。絵画はもっと豊かなもので、大衆とともにあるものではないか。

 まったくそのとおりだと思います。小説にしろ絵画にしろ、一部の"リテラシーの高い"特権的な読み手のためだけにあるのではありません。一人ひとりの読み手とともにあるのです。このことを、僕は忘れずにいようと思います。
 それに、世の中に出ている芸術性の高い作品にも、多かれ少なかれ大衆性は含まれているし、それが自分の裡に響けば、大衆であっても、たとえ言葉にできずとも、心や体のどこかで、あるいはまるっと、理解できているのではないかと思うのです。

マイ・ストーリー

マイ・ストーリー