祖母の傘

 祖母の形見に、傘を一本持っている。この傘は金色をしているのである。祖母の形見としては他にも器などを持っているのだが、「今さら若冲〜?」というような祖母だから、この傘だけはなくせない。一度だけ神戸で店に置き忘れたことがあるのだが、このときは血の気が引いた(幸い、取りに戻ったら盗まれたりせずに店に残っていた)。先日は、雨降る中大阪の街を歩いていて、「あ、祖母の傘がない!」とまたもや青ざめたら、その傘はまさに自分の手で差していたという、笑うに笑えないことがあった。大切にしているせいでなくさない(なくせない)のはいいんだけれど、ここまでくるとさすがに病的な気がする。